【サイバー攻撃を受けた「シャローム」について厚労省の説明】
800万人を超えるマイナンバー個人情報が漏洩か⁉と報じられた一部の社会保険労務士の方が使っている業務用民間ソフト【サイバー攻撃を受けた「シャローム」について厚労省の説明】
今年6月上旬、社会保険労務士(社労士)さんの多くが使っている厚生年金健康保険(協会けんぽ)労働保険(雇用保険労災保険)のコンピューターのクラウドシステム「社労夢(シャローム)」が何者かのサイバー攻撃によりダウン。
(1)個人情報漏えいがあったのか、なかったのか
報道によれば「社労夢が扱う826万のマイナンバー情報が外部に流出すれば影響ははかりしれない」ということですが、このシステムを開発・運用する企業は「個人情報の漏えいの事実は認められない」と発表しています。
厚生労働省情報化担当参事官室の方も同様の認識のようでしたが「個人情報の漏えいの担当は個人情報保護委員会」と言われました。個人情報保護委員会の事務局に聞くと「私共も情報漏えいの有無について評価する立場ではない」ということで、「たらい回し」にあいました。
(2)システム復旧状況
「シャローム」は6/16からオンプレミス(個々のパソコンにプログラムをダウンロードして使う)版を提供し、6/30にはクラウド(ネット上のプログラムをそのまま使える)版を提供開始。
現状ではこのシステムの復帰をもって各種締め切りを延長後ろする必要性は低いとの厚労省は見ています。全国社会保険労務士会連合会 などから特段、締め切り延長の要請はないということです。
(3)社会保険算定基礎届の締め切り7/10
社会保険算定基礎届(厚生年金と協会けんぽに必要な届け出)は7/10の締め切りを延期しません。しかし、仮に7/10以降の提出になっても何らペナルティは「なし」という対応を取ります。
(4)労働保険の年度更新の締め切り7/10
労働保険(雇用保険と労災保険)の年度更新は6/1~7/10の期間に行う義務がありますが、厚労省労働基準局としてはこの期間を延長する考えはないとのことです。
ただし、先日7/3付で厚労省の労働保険徴収課より全国の労働局の労働保険主務課あてに「7/10期限に間に合わないという相談については柔軟に対応するよう」に連絡をしています。
(5)労働保険事務組合の報奨金の扱いは、延長あり❗
商工会議所・商工会や社労士さんたちが小規模・零細企業の社会保険・労働保険の手続きを共同して行うために「労働保険事務組合」を作っている例が全国にあります。7/10の締め切りまでに、その対象となる労働者の95%分の申告が出来れば、事務組合は基準式で算定する報奨金が100%受け取れます(10月になったら事後で申請)。
例年ですと、天災・地変のため本来の締め切り7/10の1週間後7/17までに対象となる労働者の95%分の申告が出来れば、95%の報奨金が受け取れます。
今年は、「社労夢の通信障害など」を天災地変と同等の扱いにして、さらに1週間後の7/24までに労働者の95%分の申告が出来れば、事務組合が95%の報奨金が受け取れるようになりました。